未来への架け橋

未来への架け橋

2015/01/11

お正月になんとなくつけたテレビで、歌舞伎役者 市川海老蔵さんのドキュメンタリーをやっていました。
毎日更新するブログがなにかと話題になったり、メディアへの露出も多く、今や押しも押されぬ大スターの海老蔵さんですが、番組の中で、お父さんの市川團十郎さん亡き後、歌舞伎の伝承者としての自覚と責任をひしひしと感じているという話をされていました。
テレビを見ながら、ひとりの歌舞伎役者としての心身の鍛錬はもちろん、精力的に行う海外公演や、ブログをはじめとするメディアへの露出も、すべては日本の伝統芸能である歌舞伎の伝承のために注がれているのだなぁと思いました。

海老蔵さんが番組の最後に語られたことばがとても印象深く、この記事を書くに至ったわけです。

「私の夢は歌舞伎を伝承していくこと。歌舞伎役者として ”自分が” 活躍したいという思いを持ちながらも、所詮未来への ”つなぎ” でしかないという認識を持たなければいけません。先人たちも、亡き父もそんなことを考えながら役者をしていたのだろうと思うんです。でも、それでいいし、そうでなければいけないんです。」

録画をしていないので、細かい言葉使いはこの通りではありませんが、確かこんなかんじだったと思います。
海老蔵さんといえば、公演のチケットはなかなか取れないと聞くし、華やかな舞台に立って多くのファンを魅了し、放っておいても注目される…そんな勝手なイメージを抱いていましたが、伝統芸能の伝承という重責を担うひととしてのジレンマがあるのだと知りました。”自分” を出すばかりでは夢は実現出来ない。自分の芸を最高に高めながら、それでも”繋ぎ”でしかないという認識。そして ”繋ぎ” であるという自覚。相反するように感じるけど、その両方が彼の担う責任なのだろうと思いました。

海老蔵さんのこの番組からずっと考えていたこと。それは、業界や規模や違ってもどんな仕事にも言えることかもなぁ…ということ。
伝統を背負う私立学校は、特に共通するところも多いような気がしました。教育活動を担う教員一人ひとり、そしてマネージメントスタッフ。みんな自分の仕事が評価されることを求めてはいるけれど、学校の存在意義を広く伝えて未来に繋げていくという使命も担っている。その上では海老蔵さんが言うように自分の仕事の精度を高めながらも、未来への繋ぎでしかないという ”認識” と ”自覚” という両方の視点を持っていないとなぁ…と思ったわけです。

未来への架け橋を繋ぐ責任をみんなが担っている…。そんなことを思いながら、日々アグレッシブに邁進したいと思うこのごろです^^ これは先生たちとも共有したい話でした。考える機会をくれた海老蔵さんに感謝!